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2013年09月27日第3回TIPCプレイベント 岩崎 淑・岩崎 洸 ピアノとチェロのデュオリサイタル演奏曲解説

第3回高松国際ピアノコンクール プレイベント「岩崎 淑 ・ 岩崎 洸 ピアノとチェロのデュオリサイタル」において、どのような曲を演奏されるのか、解説をご紹介します。


2013年10月2日(水) 岩崎 淑 ・ 岩崎 洸 ピアノとチェロのデュオリサイタル
ガスパール・カサド(1897-1966): 親愛なる言葉
カサドはスペイン出身で、20世紀前半で最も影響力あるチェリストの一人。作曲家としても活動し、最晩年には後進の指導や若い才能の発掘にも熱意を示した。9歳でリサイタルを開いたところ、聴衆の中に交じっていたパブロ・カザルスに認められ、それ以降カザルスの薫陶を受ける。
「親愛なる言葉」は、チェロ曲の作品中の代表的な小品。1917年-20年の間に完成し、師カザルスに贈られた。カサド自身も演奏会のアンコールの最後には必ずこの曲を弾いていたという。

ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン(1770-1827):
   チェロとピアノの為のソナタ 第3番 op.69 イ長調
   Allegro ma non tanto
   Scherzo.Allegro molto
   Adagio cantabile - Allegro vivace
5曲のチェロソナタのうち、最も広く知られているのがこのOp.69の第3番である。第5交響曲、第6交響曲、第5ピアノ協奏曲などと同時期に作曲されたこの曲は、ベートーヴェン中期の「傑作の森」を代表する室内楽曲であり、大変充実した内容を持つ。
遺品のスケッチにより、この第3番は元々ト長調の「ピアノとヴァイオリンのための大ソナタ」として構想されていた。作曲技法においても、チェロとピアノの両手による精緻な対位法的処理が随所に用いられるなど、この時期のベートーヴェンの作曲技法の高さを示している。

マックス・ブルッフ(1838-1920): コル・ニドライ op.47
この題名は,ヘブライ語で「神の日」という意味で、別名「ヘブライの旋律」とも呼ばれる。宗教的でありながら,ブルッフらしく非常にロマンティクな情感をたたえている。最初は,厳かな感じだが,その後,明るい主題とその変奏が続く。チェロとオーケストラによる小品の代表曲で、ピアノ伴奏で弾かれることも多い。

ガブリエル・フォーレ(1845-1924): エレジー op.24
「エレジー elegy」というのは、悲しみを歌った詩などの文学や楽曲のことで、日本語では「悲歌」、「哀歌」、「挽歌」などと訳されている。この言葉は古代ギリシアの「エレゲイア」から派生したもので、韻律や死を哀悼する詩を指していた。
3部形式(ABA形式)で構成されており、物悲しく厳粛な開始と、恋の絶望を象徴する濃密で早足の楽節によるクライマックスとが際立っている。

クロード・ドビュッシー(1862 – 1918): ミンストレル
「ミンストレル」の原曲は、ピアノ独奏の為の前奏曲第1集の終曲第12番である。この曲集の中には、「亜麻色の髪の乙女」や「沈める寺」も含まれている。
ドビュッシー自身が、カフェ(酒場)や女性が大好きで、こういう、騒々しいショウも大好きだったという。バンジョーが鳴り、管楽器やベースが鳴り、ドラムが叩かれ、寸劇やアクロバットが入ることもあった。この曲はそのような雰囲気や音のイメージとして書かれている。後に、クラリネット、ファゴット、ヴァイオリン、チェロなど色々な楽器の演奏会用小品に編曲されている。

ドミートリイ・ショスタコーヴィチ(1906-1975):
   チェロとピアノの為のソナタ ニ短調 op.40
   Allegro non troppo  Allegro  Largo  Allegro
シベリウス、プロコフィエフと共に、マーラー以降の最大の交響曲作曲家としての評価がほぼ確立され、世界的にも特に交響曲の大家と認知されている。また、弦楽四重奏曲においても秀逸な曲を残し、芸術音楽における20世紀最大の作曲家の一人である。ショスタコーヴィチの音楽には暗く重い雰囲気のものが多いが、その一方でポピュラー音楽も愛し、ジャズ風の軽妙な作品も少なからず残している。
20世紀のチェロ作品の代表的な名作のひとつと考えられ、悲劇性とパロディと抒情性が渾然一体となっていることが窺える。

フレデリック・フランソワ・ショパン(1810 – 1849):
   序奏と華麗なるポロネーズ ハ長調 op.3

フレデリック・ショパンは、ポーランドの前期ロマン派音楽を代表する作曲家である。当時のヨーロッパにおいてもピアニストとして、また作曲家として有名であった。ピアノの詩人とも呼ばれるように、様々な形式、美しい旋律、半音階的和声法などによってピアノの表現様式を拡大し、ピアノ音楽の新しい地平を切り開いた。
ショパンの作品はほとんどがピアノのために作曲されたが、数曲だけは室内楽作品が残されていて、「序奏と華麗なるポロネーズ」 はその中の1曲である。この曲は、ピアノ・ソロに編曲されたり、ヴィオラとピアノ、フルートとピアノのためにも編曲出版されたという。


本リサイタルでは7つの楽曲をお届けします。ぜひこの機会にご来場ください。


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