2013年09月13日第3回TIPCプレイベント 神谷 郁代リサイタル演奏曲解説(第1回)
第3回高松国際ピアノコンクール プレイベント「神谷 郁代 ピアノリサイタル」において、神谷 郁代氏がどのような曲を演奏されるのか、2回に分けて解説をご紹介します。
2013年9月19日(火) 神谷 郁代 ピアノリサイタル
モーツァルト:「ああ、お母さん、あなたに申しましょう」による12の変奏曲
ハ長調 K265 (通称:キラキラ星変奏曲)
モーツァルトが22歳のころ、パリ滞在中に書かれた作品です。皆さんがよくご存じの童謡「キラキラ星」のメロディーを使った変奏曲です。この曲は今では童謡なのですが、当時はパリで流行っていたシャンソンで、娘が恋人のことを母親に打ち明けるという恋の歌でした。ですから、モーツァルトは星のイメージではなく、恋の歌を楽しみながら作曲したと思います。とてもシンプルなメロディーですが、そこから生まれる12の変奏曲ではモーツァルトのアイデアがどんどん膨らんでいきます。モーツァルトのピアノの魅力が一杯詰まった作品ですので、どうぞ楽しんでお聴きください。
シューマン:子供の情景 op.15
シューマンが28歳のころ、後に妻となるクララとの恋愛の中から生まれた作品です。クララから「時々、あなたは子供のように思えます。」と言われたことがきっかけとなって、作曲された30の小品の中から、12曲を選んで「子供の情景」と名付けました。子供のための作品ではなく、大人の目から見た子供の世界が描かれています。優しい愛情と夢が素直に表現された音楽で、シューマンの最高傑作の一つとされています。
ドビュッシー:版画
ドヴュッシーが41歳のころ、作曲家としてとても充実していた時期の作品で、印象主義ピアノ音楽を確立した作品と言われています。最初の1小節を聴いただけで、モーツァルトやシューマンとは別世界の音楽であることをわかっていただけると思います。「版画」という名前からも、また一つ一つの曲に付けられた「パゴダ」(インドシナの寺院)、「グラナダの夕べ」(アルハンブラ宮殿)、「雨の庭」という曲名からも、絵画のような様々なイメージが浮かんできますが、どうぞ自由に情景を思い浮かべながら、お楽しみください。
次回は、「ショパン:ノクターン op.9-1 op.15-2」、「ショパン:舟歌 op.60」について、ご紹介します。どうぞお楽しみに。